②在宅看護編

抜管への挑戦

初めての方はまずこちらをお読みください。(希望の星『わくわく日記とは』

息子も3歳3か月となりました。
5月です。

また神戸のこども病院で検査入院です。
今回は、順調にいけば約1週間程度の短期入院です。

目的は気管切開のカニューレ交換です。
「特殊チューブ」から「一般用の気切用チューブ」へ交換します。

気管切開の場合、普通は「一般用の気切用チューブ」を使用します。
息子の場合、「一般用の気切用チューブ」は気管の狭窄部(狭くなっている部分)まで長さが足りないので、手術後、「特殊チューブ」を使用していました。
こども病院の先生が、チューブの長さを息子の気管に合わせて先端を焼いてとがりをなくすなど工夫を重ね特別に作ったチューブです。

息子は手術後「特殊チューブ」を使用していましたが、特殊チューブに気管が慣れるまで何度も「肉芽(チューブが接触することにより、気管が腫れてできるもの)」ができ窒息し、その都度手術で肉芽を焼いたり、気管をバルーン拡張したりと毎回大変でした。

ようやく「特殊チューブ」に気管が慣れ、在宅看護でもこの「特殊チューブ」を使用していました。
今回、その「特殊チューブ」を「一般用の気切用チューブ」に取り替えます。

手術後、息子は何度も窒息を繰り返したのでまたあの悪夢が頭によぎります。

「一般用の気切用チューブに取り替えて本当に大丈夫だろうか」
「また窒息してしまうのではないか」
「鹿児島に帰ってから、家で窒息したらどうしよう」
「まだ特殊チューブのほうがいいのではないか」
「でも特殊チューブのままにしたら、その分抜管も遅れてしまう」

私たち夫婦は悩みに悩みました。
ネットでも一生懸命調べました。
担当医師にも何度もリスクを確認しました。
そしてまた夫婦でも何度も話し合いました。

悩んだ末に出した結論が、「一般用の気切用チューブに取り替える」でした。

一番の決め手となったのが、息子の成長と共に気管も太くなり狭窄部も太くなっているとのことです。
不安は尽きませんが、担当医師そして何より息子を信じて決断しました。

でも、100%安全とは言えないので、鹿児島で万が一窒息した時のために念のため予備の「特殊チューブ」も作ってもらい何かあったら鹿児島の大学病院へすぐに行けるような体制を整えました。
(関係箇所にお願いするのがとても大変でしたが、息子に二度と辛い思いをさせたくない一心で頑張りました。)

手術が始まりました。
(麻酔を使うので、手術となります。)
今回は1時間もかからなかったと思います。

担当医師からの説明があり、無事「一般用の気切用チューブ」に取替えたとのことでした。
しばらく数日間様子を見て、問題なければ退院とのことでした。

息子が手術室から出てきます。
驚いたことに、ベットにちょこんと座ったまま手術室から出てきました。
内にもなかったかのように息子はキョトンとしています。

妻と目を合わせ、思わず「ほっこり」しました。
息子を抱きしめます。
「よく頑張ったね。本当にえらいよ。」
何度も何度も息子の頭を撫でます。

息子はニッコリしました。
とりあえず一安心です。

息子は既に手術を10回以上行っています。
毎回、手術後は全身管につながれ見るに見かねる状態で手術室から出てきたので、今回は本当に拍子抜けしました。
でも、少しづつ息子の病気が良くなっているのを実感でき、とてもうれしく思いました。

まだまだ安心できません。
私の心配性が発動します。
「今夜は病院に泊まるから」
妻もそのつもりだったようです。
(こども病院は完全看護制でしたが、特別に付き添いを許可してもらいました。)

結局その後3日間、退院するまで病院に泊まっちゃいました(笑)
「一般用の気切用チューブ」は息子の気管にうまく馴染んだようで一安心です。

こうして約5日間の入院が終わりました。
いよいよ1年後は抜管チャレンジです。
「それまでに息子にどんどんご飯を食べさせ、気管を太くさせないと。」

メラメラと燃える気持ちを抑えながら、私たちは鹿児島へ帰りました。
まだまだ私たち家族の難病への挑戦は始まったばかりです。

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