①闘病編

万が一カニューレが外れたら・・・

初めての方はまずこちらをお読みください。(希望の星『わくわく日記とは』

1歳2か月の息子です。

こども病院での充実したゴールデンウィークが過ぎていきます。

今日は「気管切開」のカニューレ交換の日です。

簡単に言うと、息子は気管が狭いので喉から気管に穴を空け、そこに「カニューレ」と呼ばれるチューブ(管)を入れています。
そのチューブを取り替える作業です。

先生が今後の在宅に向けて、万が一家でカニューレが外れた時のためにと、わざわざゴールデンウィークにカニューレ交換を設定していただきました。
本当に優しい先生です。

新しいカニューレを見せ、先生が丁寧に説明してくれます。
長さは約5cmぐらいです。
こんな長いチューブが息子の喉に入っているなんて・・・息子の痰が多いはずです。

このカニューレを喉から気管に入れ、固定するために(外れないように)首に布のカバーをつけ、ヒモでくくっています。
息子が誤って外さないように厳重に固定しています。

先生によるカニューレ交換が始まります。
あまり泣かない息子が何かを察したのか急に泣き出します。
(気管切開をしているので、もちろん泣き声は聞こえません。)
看護婦さんが2人がかりで、息子の手足を押さえつけます。

先生がまずヒモを切り、カニューレを抜きます。
すると、喉に小さな穴が開いているのが見えます。
その穴めがけてカニューレをすっと入れます。
そして、布カバーを首回りにあて、ひもでくくって終了です。

カニューレを抜いて入れるだけのため一見簡単な作業に見えますが、実際に家で外れた時に

「落ち着いてこの作業ができるだろうか。」
「私か妻独りの時に万が一外れたら独りでできるだろうか」
「穴にうまくカニューレが入らなかったらどうしよう」

不安がよぎります。
(幸い在宅でもカニューレが外れることはありませんでした。)

万が一外れてもすぐに穴がふさがることはないので、慌てずに落ち着いてカニューレを入れることがポイントのようです。

不安に思っていることを私と妻がどんどん先生に質問します。
先生が熱心に答えてくれます。

数か月後に1回カニューレ交換をするので、次回は慣れてもらうため、実際に両親にカニューレ交換をしてもらうとのことでした。
まずは妻がやることになりました。
妻は看護師なので安心ですが、さすがにカニューレ交換だけについては不安そうでした。

先生が去り、今度はカニューレを固定している布カバーやヒモの話に移ります。
どうしても首周りにずっと固定しているので、首回りの皮膚が荒れてきます。
この布カバーやヒモ、そして「人工鼻」と呼ばれる蓋のようなものを覆う布カバー。

気管切開をした子供のご両親はよくご存じだと思いますが、とにかく大変です。
私の妻もその後、看護師さんとも協力し徹底的に研究しました。
また機会があったら紹介したいと思います。

こうして初めてのカニューレ交換が無事終わりました。

話は変わります。

ゴールデンウィーク期間、私は鹿児島から神戸に来ていました。
妻は前年の6月から約1年、ずっとこども病院に入院している息子に妻はつきっきりです。
(私は鹿児島にいるので、月に1回しかこども病院へ行けませんでした。)

すると、仲の良い看護師さんから提案がありました。
「ためには息抜きに両親で神戸観光してください。ちょうど私が明日勤務なので、〇〇君は任せてください。」
非常にありがたいお言葉でした。

「たまには妻に息抜きをさせてあげたい。」

ずっと思っていましたが、なかなか実現できずでいました。

妻は息子を残して遊びには行けないと断りましたが、他の看護師さんや最終的には先生まで入ってきて、結局、夫婦で1日神戸観光に行くことになりました。
こども病院の看護師さんや先生に感謝です。

神戸観光の日です。
朝、息子の顔を見に行き、そして、息子と看護師さんが遊んでいるすきにそっと病室を出ます。
私も妻もかなり後ろめたさはありましたが・・・

神戸に来て約1年がたちますが、ずっとこども病院ばかりだったので移動以外でバスに乗るのは初めてです。
初めての神戸観光で感じましたが、本当に神戸はおしゃれな街ですね。

まずは「ハーバーランド」
まるでヨーロッパに行った気分です。

船にも乗り、クルージングです。
そして、お昼は元町の中華街へ。
食通の看護師さんお勧めの店でお昼ご飯を満喫です。

楽しい時間は過ぎていきますが、私たち夫婦の会話は息子の話しばかりです。

「泣いてないかな?」
「今頃お昼ご飯かな?」
「息子のお土産は何にしよう」

本当は夜ご飯を食べて帰るつもりですが、3時ぐらいに2人の考えは一致します。
「こども病院へ帰ろうか」

こども病院に4時ぐらいに戻ると看護師さんもみんな呆れた顔です。
「息子が気になって気になって・・・」

息子はと言うと、ニコニコしてます。
ずっと機嫌は良かったようです。

心配なのは親だけのようです(笑)
とりあえずほっとしました。

やっぱり息子を病院に置いて2人だけ楽しむのは何か複雑です。
妻の息抜きになればと思ったけど、やはり息子のそばが一番です。

早く息子が元気になって、「今度は3人で改めて神戸旅行しようね」
そう心に誓いました。

-①闘病編
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