②在宅看護編

運命の瞬間 抜管チャレンジ

初めての方はまずこちらをお読みください。(希望の星『わくわく日記とは』

4歳(2013年4月)の息子です。

「気管切開」の抜管チャレンジのため、鹿児島から神戸のこども病院へ入院中です。

今日はいよいよ「気管切開」の抜管チャレンジです。
「絶対に成功させる」

昨夜は緊張のあまり一睡もできませんでした。
朝6時にファミリーハウスを出て、誰よりも早く息子が入院している病棟に向かいます。

病棟に入ると息子はまだ寝ていました。
看護師さんに昨夜の様子を伺います。
どうやらずっと寝ていたようです。
まずは一安心です。

6時半になると、病棟も少し騒がしくなり、息子もモゾモゾしだします。ようやく7時前に起床します。
まずは吸引です。

吸引の感触は悪くない。
体調は万全です。

息子もきょとんとしていましたが、私の顔を見て思わずニッコリ。
「絶対に抜管してあげるからね」
「頑張ろうね」
思わずぎゅっと抱きしめます。

妻も心配だったようで、その後すぐにやってきます。

昨晩と朝の様子を妻に伝え、まずは朝食です。
いつもどおり時間をかけて食べます。
(余談ですが、こども病院の食事はだしが効いていてとてもおいしいようです。)

食事が終わると、小児外科医師の回診です。
胸の音も特に問題なし。
先生から10時に抜管することが伝えられました。

抜管までまだ時間があったので、プレイルームに連れて行っていつもどおりおもちゃで遊ばせます。
私たちはというと、息子に緊張が伝わらないように平然を装うので必死です。

10時前になりました。
病室に戻り、抜管の準備です。

まずは、前もって練りに練った作戦の実行です。
抜管した時に一番まずいのは息子が泣いて気管が収縮することです。
窒息してしまったらまた気管切開のチューブをいれることになるので、絶対に泣くことは避けなければなりません。

ここで「天丼マン」(幼児雑誌の付録)の登場です。
この「天丼マン」に全てを託します。

息子のベットに私も座り、机の上で「天丼マン」を一緒に組み立てていきます。
息子はアンパンマンが大好き。

「天丼マン」の登場に大喜びです。
案の定、「天丼マン」を作るのにのめり込んでいきます。

ここで先生の登場です。
先生が見守る中、妻が気管切開のひもを切ります。
息子はというと・・・「天丼マン」に夢中のようです。

次の瞬間、妻が慣れた手つきで「スーッと」チューブを喉から抜きました。

息子の反応は・・・
やはり気づきました。
喉に指を指し、「チューブがない。入れて。」と言っているようなジェスチャーをし、少し、泣きかぶっています。

まずい・・・
息子に「大丈夫だから、天丼マンを作ろう」
息子に緊張を悟られないように、命一杯の笑顔で言いました。
(かなり顔が引きつっていたと思います。)

息子も「天丼マン」に目を向けます。
そして、再び「天丼マン」を作り始めます。

息子の呼吸はというと、今のところ問題ないようです。
チューブが抜けたことも気にならなくなったようです。

とりあえず一安心
なるべく時間をかけて「天丼マン」を一緒に作っていきます。

そして、ついに「天丼マン」の完成です。
「やったー」息子と一緒に拍手します。
息子はとてもうれしそうです。

しばらくすると、喉に指を指し、「チューブがない。入れて。」と言っているようなジェスチャーまたしてきます。
「もう大丈夫だよ、そんなのいらないでしょ。」
息子はチューブがないことを気にしていましたが、その後、少しづつ慣れてきたようです。

しばらくして、先生が胸の音を聞きます。
今のところ問題ないようです。
「このままうまくいきますように」

まだ油断はできませんが、抜管チャレンジ成功です!!

息子もチューブがないことが楽なことに理解したようで、冗談を言う余裕も出てきました。

「チューブは?」
「ない」
「どっちがいい」
「チューブがないほう」
「そうだね」

まだチューブが抜けたばかりでまだうまく声は出せませんが、チューブが抜けたことにとても誇らしげです。

「本当によく頑張ったね」
チューブが抜けた息子がとてもまぶしく、そして、何よりもとても頼もしく感じました。

「よく頑張った。よく頑張った。」
「これからできなかったこともいっぱいできるからね」

こうして抜管チャレンジは4歳の時に無事成功しました。
本当に本当に良かったです。

ありがとう息子、妻、病院の先生、看護師さん・・・そして天丼マン

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